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未来をつなぐ不動産サービス第2回:「X Concierge」の取り組み ―不動産業界を取り巻く環境変化と、星野リゾートに学ぶ“体験”設計の重要性―

 

1. 不動産業界を取り巻く環境変化

不動産業界は、これまで「物件(ハード)」そのものや「施設を維持管理すること」を中心
に発展してきました。しかし昨今、以下のような社会・経済・技術的変化が同時多発的に起
きており、従来の事業モデルを大きく変革する必要性が高まっています。
本レポートは、今回の第1回を皮切りに、下記の流れで不動産業界の未来と「X Concierge
(エックス・コンシェルジュ)」サービスの詳細について掘り下げていきます。

1. 第1回:不動産業界を取り巻く環境から見る「体験価値としての不動産サービス」のビジョン
2. 第2回:上記ビジョンに基づいた、弊社サービス「X Concierge」の取り組み
┗ ※今回の内容
3. 第3回:「X Concierge」のサービス詳細・事例紹介
4. 第4回:専門家対談
5. 第5回:「X Concierge」におけるAIサービスの可能性

 

第2回:上記ビジョンに基づいた、弊社サービス「X Concierge」の取り組み

第1回では、「不動産を体験価値で捉え直す」ことの重要性と、それを体現する企業として
星野リゾートの事例を紹介しました。不動産業界が“物件提供”から“体験提供”へとパラダイ
ムシフトを迎える中、こうした考え方を管理・運用の現場にどう実装するかが次なる課題で
す。
この第2回では、弊社が展開する「X Concierge(エックス・コンシェルジュ)」の具体的な
取り組みを通じて、体験価値を軸とした不動産サービスの未来を掘り下げます。

 

テクノロジー for レジデンシャル・エクスペリエンス──ビジョンの核心

X Conciergeの根底にあるのは「テクノロジー for レジデンシャル・エクスペリエンス」と
いうビジョンです。これは、わくわくするような入居者体験を管理会社と共に創り出すこと
を目指したものであり、不動産をサービス業として再定義する挑戦でもあります。
実際の管理現場では、フロントスタッフが既存業務で手一杯となっており、体験価値を高め
る新たなサービス設計に取り組む余力がないという課題が存在します。X Conciergeは、こ
うした負荷を包括的にアウトソースできるプラットフォームとして、管理会社の代わりに入
居者サービスを支える仕組みを提供しています。

 

入居者向け会員サービス:暮らしを支える日常のインフラへ

X Conciergeの第一の柱である入居者向け会員サービスは、従来のコールセンター機能や緊
急駆けつけサービスの“アップグレード版”とも言えます。さらに、住宅設備の無制限修理、
ペットに特化したコンシェルジュ、生活の利便性を高めるライフサポートなど、入居者の日
常に寄り添う形で多様なサービスを展開しています。
これにより、入居者は「困ったらコンシェルジュに頼ればいい」という心理的安心感を得ら
れ、長期的な満足度や入居継続意向にもつながっています。加えて、自社開発だけでなく、
外部のサブスク型サービスとも柔軟に連携し、最適な組み合わせを提供しています。
この会員プラットフォームは、単なるサービス提供にとどまらず、入居者との接点を継続的
に持つ重要なタッチポイントにもなっています。

 

ネットショップ:アナログ販促から脱却した新しい提案導線

次に挙げられるのが「ネットショップ機能」です。これは、従来ポスティングや掲示板で個
別に案内していたエアコンクリーニング、鍵交換、家事代行などの生活支援サービスを、ひ
とつのオンラインショップに統合したものです。

管理会社は独自のブランドでこのネットショップを運用でき、入居者はスマホやPCから手
軽にサービスを注文可能。取引の可視化、利用実績の蓄積、さらに次の提案へと繋がるデー
タ活用が可能になる点でも、業務効率と価値創造を両立する新しい仕組みです。
また、従来ベンダーとのやりとりで発生していた見積、請求、成果確認などの煩雑な管理業
務も、X Conciergeがプラットフォームとして一元化することで、管理会社・ベンダー双方
の運用負担を大幅に削減しています。

 

ハイブリッド提供:アナログとの融合が生む“体験”

X Conciergeの最大の特徴は、単なるデジタルサービス提供にとどまらず、「アナログ」と
の融合を重視している点にあります。デジタルネイティブではない高齢層も多い中、現場に
“人”が訪問してケアを行う「ハイブリッド提供モデル」は大きな意味を持ちます。
たとえば、ペット向けサービスでは獣医師が物件を巡回し、実際に飼い主と対話しながら健
康チェックを行う。これにより、信頼関係の構築と、安心感の醸成を図っています。また、
水回りや住設機器の不具合対応においても、単なる故障後の対応に留まらず、プロの巡回に
よる予防的な点検サービスを導入。これらはすべてアプリ上のカルテと連動しており、ユー
ザーの“体験”がシームレスに記録・改善されていきます。
このように、単なる「問題解決」ではなく、「信頼と期待の醸成」という、次の段階の入居
者体験へと踏み込んでいるのです。

 

プラットフォームとしての可能性と収益化モデル

さらにX Conciergeは、導入のしやすさという点でも特筆すべきです。自社ブランドで展開
できるほか、既に入居者アプリを運用している企業にとってもWeb経由でシームレスに連携
可能。柔軟性と拡張性を兼ね備えたプラットフォームです。
そして何より、X Conciergeは“管理費以外”の新たな収益モデルを構築できる点で、業界に
大きな可能性をもたらしています。入居者の消費行動をデータとして蓄積し、LTV(ライフ
タイムバリュー)として捉えることで、サービスの質を高めつつ持続的な収益化へと繋げる
ことができます。

今後はAIによるレコメンドやパーソナライズ機能の実装も視野に入れており、不動産とテク
ノロジーの融合によって、新たな顧客体験と経済価値を生み出すエコシステムの構築が期待
されています。

まとめ:X Conciergeが描く「体験のインフラ」としての不動産

X Conciergeは、不動産を“物件”としてだけでなく“体験”の起点として再定義するサービス
です。管理会社にとっては業務負担を軽減しながらも、入居者にとっては安心・快適・満足
のある暮らしを提供する——まさに共創型プラットフォームの最前線です。
単なる業務効率化でも、単なるデジタル化でもない。「その空間で得られる体験」にこだわ
り抜く姿勢が、これからの不動産業の価値を決定づけていくでしょう。

次回第3回では、これらの機能が実際にどのような成果を生んでいるのか、具体的な活用事
例を交えて「X Conciergeのサービス詳細・事例紹介」をお届けします。